キミに極上の恋物語を
つまんない女の子で。
わけわかんないくらい、男の子慣れしてなくて。
焦った拍子に落としてしまった教科書を拾って、私は早足でその場を離れた。
ケータイの中の物語は、きっと全部私の願望でできてる。
勇気もなくて、普通に話すことさえぎこちない私の代わりに
想像だけでできた都合のいい相手の言葉に酔いしれて、からっぽな満足感を、ずっと与え続けてくれてるんだ。
「なんて返せば良かったの。……あんなの、私の反応を面白がって意地悪してるだけなのに」
当然だけど、私の書く小説は、ほとんど斗真くんがモデルになってた。
些細なきっかけから始まる恋も。そこから先の、妄想だけでできた甘い関係も。
「ひ、ひゃぁ〜!私なに想像しちゃってるんだろ。消えて消えてーっ」
一人でもがく私は、ホントに虚しいだけの暗い人間だ…。