どれだけ歳月が過ぎようと
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冬の寒さで目が覚めた。
覚めたといっても時間はすでに正午を過ぎている。
休日だからといって寝過ぎてしまった。
家の中は何一つ物音がしない。
耳に痛い静かさだ。
この静寂の中、インターホンが鳴り響く。
近くにあった適当なものをはおり、玄関に向かう。
「どちら様でしょうか」
『久しぶり』
インターホン越しに聞こえた声に驚いた。
短い言葉だったがその声の主が誰なのかすぐに分かった。
「……西村、くん?」
『うん、俺』
その声の主は私が教師をしていたころの高校の元生徒で――
私の元恋人だった。