どれだけ歳月が過ぎようと
「いいマンションに住んでるんだね」
「適当に座って。コーヒーでいいでしょ?」
「うん、砂糖はいらないからね」
変わってない。
コーヒーを準備しながらそう思う。
髪の色は黒に染め上げているが、笑った時にできるえくぼだとか、髪を触る仕草だとか昔のままだった。
「はい、少し熱いかも」
「ありがとう、先生」
リビングのソファーに座っている彼に直接渡す。
私はその前にあるソファーに向かい合うように座った。