【短編】あれもこれも
「夕くんは当日祝ってくれたから」
そう言って吉馬を睨む。
すると吉馬は無表情で視線を逸らすと冷たく言い放った。
「……勝手にしろ」
いいもん。
沙耶は誕生日を彼氏とじゃなくて友達と祝う馬鹿はいないって言ってたけど。
いるもん、ここに。
だってムカつくじゃん。
ふんだ!!
勝手にするもん!!!!
「マジで?」
教室に戻ると、あたしは速攻夕くんにOKだと伝えた。
そして首を傾げる。
「でも吉馬はいいの?」
吉馬。
あんな奴知るか!!
「いいのいいの!」
笑って首を振って見せると、夕くんは喜んだみたいでニコニコ笑っている。
「んじゃ。おれ。盛大なやつ用意しとくから!」
「うん」
吉馬以上に喜んでいる夕くんを見つめて微笑んだ。
いいもん。
吉馬は勝手にしろって言った。
夕くんは女癖悪くて軽いけど、ノリいいし。
優しいし。
誕生日は楽しませてもらうよ。
吉馬はせいぜいバイトでこき使われてろーだ!