【短編】あれもこれも
「ここ……何?」
連れて来られたのは、人気の少ないバーのような場所。
中へとスタスタ入っていく夕くんについて行くと、店員らしい女の人に夕くんは手を上げた。
「こんばんは」
「あ、夕ー。待ってたよ」
そう言ってあたしに視線を落とした女の人。
「あれ?その子が例の希ちゃん?」
「っそ」
例の?
その辺気になったけど、あたしは女の人に会釈した。
すると夕くんはあたしの腕を掴んで歩き出した。
「ほら行くよー♪」
「ってどこに!?」
そう聞いてみるけど、夕くんは口笛を吹きながら歩いて行く。
人気の少ない部屋に連れてこられて少し不安になる。
身構えていると、あたしはテーブルの上を見て目を見開いた。
「これ……」
テーブルの上にはケーキ。
そしてたくさんの料理。
キョトンと見ていると、夕くんはソファに座って笑った。
「すごいっしょ?ほら食べよー」
そう言われてあたしは夕くんの隣に座る。
「すごい」
「だろ?超うまいよ」
笑いながらすでに夕くんは、料理に手をつけていた。
あたしはニコッと笑って、あたしも料理に手をつけた。
2人で盛り上がってケーキも食べ始める。
「夕くん……」
「ん?」