【短編】あれもこれも


あたしは笑顔で明るく返事をするけど。
内心心臓バクバク!
動揺しまくりだった。
あたしは少し離れて笑って見せた。


「あたしは大丈夫だから。バイト戻りなよ?」


そう言ったのに、吉馬はあたしを抱きしめる力を強くして言った。


「やだ……離したくない」


「吉馬……」


その声を聞いてあたしの目から涙が溢れた。


「ごめん……あたしこそ。一方的に怒ったりして」


「いいよ。悪いのは俺だったんだし」


泣いてるあたしの頭を撫でながら吉馬は笑った。
優しく笑うから。
今までの不安が嘘みたいに消えていった。


するとそんなあたし達の裏でウザッたそうに夕くんが口を開いた。


「お前等邪魔だからさっさと帰れよ」


あ……。
夕くんの存在忘れてた。


ハッとして離れると、夕くんは言った。


「吉馬……お前はもう彼女不安にさせんなよ!?」


そう言って夕くんはフッと笑った。
あたしは笑っている夕くんに笑顔でお礼を言った。


「ありがとう……夕くん」


「どういたしまして♪お礼は体で払ってくれるといいんだけどな、いて!!」


そう言った瞬間。
吉馬は夕くんの頭を思い切り叩いた。


「ふざけんな」


じゃれ合う2人をあたしは笑顔で見ていた。
何か……すっきりした。


< 24 / 27 >

この作品をシェア

pagetop