【短編】あれもこれも
あたしは笑顔で明るく返事をするけど。
内心心臓バクバク!
動揺しまくりだった。
あたしは少し離れて笑って見せた。
「あたしは大丈夫だから。バイト戻りなよ?」
そう言ったのに、吉馬はあたしを抱きしめる力を強くして言った。
「やだ……離したくない」
「吉馬……」
その声を聞いてあたしの目から涙が溢れた。
「ごめん……あたしこそ。一方的に怒ったりして」
「いいよ。悪いのは俺だったんだし」
泣いてるあたしの頭を撫でながら吉馬は笑った。
優しく笑うから。
今までの不安が嘘みたいに消えていった。
するとそんなあたし達の裏でウザッたそうに夕くんが口を開いた。
「お前等邪魔だからさっさと帰れよ」
あ……。
夕くんの存在忘れてた。
ハッとして離れると、夕くんは言った。
「吉馬……お前はもう彼女不安にさせんなよ!?」
そう言って夕くんはフッと笑った。
あたしは笑っている夕くんに笑顔でお礼を言った。
「ありがとう……夕くん」
「どういたしまして♪お礼は体で払ってくれるといいんだけどな、いて!!」
そう言った瞬間。
吉馬は夕くんの頭を思い切り叩いた。
「ふざけんな」
じゃれ合う2人をあたしは笑顔で見ていた。
何か……すっきりした。