《GL》握る、手。
慌てふためく日向は可愛らしい。涙で潤む瞳で日向を追えば、日向はスカートのポケットから淡いピンク色のタオルハンカチを取り出した。

「泣き止んでよ、あおちゃん」

タオルハンカチを高木の目尻に添えて、日向は涙を拭く。高木は瞼を閉じてそれを受け入れた。

「……ごめんね、ヒナちゃん」

すっきりとした頬は、恥ずかしげに赤く染まった。日向は横に首を振り、迷惑ではなかったと示す。

「久々に『あおちゃん』って呼んでくれた」

語尾にハートマークが付きそうな程には機嫌がいいらしい。高木は日向の腕に自身の腕を絡めた。そうして指にも指を絡ませる。刹那、日向の躯が跳ねる。

「え、葵っ!?」
「繋ぎたいから、ね? ヒナちゃん」

可愛らしく笑う高木には逆らえない。――そもそも日向は昔から高木には弱いのだ。
高木が泣く顔は見たくはないし、着飾る服には「可愛い」「可愛い」と一々大喜びをする。高木が着飾る服には「可愛い?」と問われ、「可愛いよ」と返せば、嬉しそうに笑う――。その笑顔に、弱い。

「もう、今日だけだからね」

渋々――だが顔はにやける日向に、高木はぽそりと呟いた。

「どうしようかな」

日向には届かない声を隠すように、高木はきゅっと手を握った。


end
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