見えない君に届け


足音が大きくなり私の近くで止まった。



『あのっ…』



声からして男だな…たぶん私に話しかけたのだろうけど、歌っている途中だったので無視する。



男は私の意図がわかったのか、話しかけてはこない。


__これを歌い終わったら話しかけてくるのだろうか。出来るだけ人と関わりたくない…。


歌い終わるとやはり男が話しかけてきた。


『あ、あのさ、1年前も歌ってたよな…』



「…。」



うっとおしい。直感で感じた。話しかけられることはよくある、でも、出来るだけ話さない。もう人と関わりたくない。



『俺は、あんたの歌に救われたんだ。でも、俺大学行くからこっちに引っ越してきて、もうあんたの歌聞けないと思ってた。またここで歌うのか?』
 


 

< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop