見えない君に届け
足音が大きくなり私の近くで止まった。
『あのっ…』
声からして男だな…たぶん私に話しかけたのだろうけど、歌っている途中だったので無視する。
男は私の意図がわかったのか、話しかけてはこない。
__これを歌い終わったら話しかけてくるのだろうか。出来るだけ人と関わりたくない…。
歌い終わるとやはり男が話しかけてきた。
『あ、あのさ、1年前も歌ってたよな…』
「…。」
うっとおしい。直感で感じた。話しかけられることはよくある、でも、出来るだけ話さない。もう人と関わりたくない。
『俺は、あんたの歌に救われたんだ。でも、俺大学行くからこっちに引っ越してきて、もうあんたの歌聞けないと思ってた。またここで歌うのか?』