見えない君に届け
その人は何も答えない。
もういいのだろうか。
今日はもう帰ろうかな…。久しぶりに外で歌えたし、ここで歌うのは今日で始めてだしな。
そしてギターをケースにしまいだす
ぼーっとしていたその人は急にしゃべった。
『えっ!?もう帰んの?
送るよ。ここら辺意外と危ないから。
それに、目見えないんだろ。』
「……いい。一人で帰れる。」
そういって、家のほうに歩いていく
『待って!!
な、名前だけ教えて。』
「紫音。」
『ありがと。
また聴きにくるから。
紫音。気をつけて。』
「待ってよ。あんたの名前は?」
『龍。』
こいつ、龍はいつもうれしそうな声だな。何がそんなに嬉しいのか。私にはできないな。
「そ、じゃ。」
そういって、私は1時間前に来た道を帰った。