ハニードハニー
「――宮下雛。……宮下? おい、また宮下は――」

「遅刻じゃないです! ぎりぎり間に合いましたっ」


 ホームルームが始まっていた教室に全速力で駆け込む。

 そして自然と私に集まる視線。

 恥ずかしさで教室から出ていきたくなった。


「駆け込むのは教室じゃなくて電車にしろ」

「駆け込み乗車はダメですよ?」

「それじゃその前の電車に余裕を持って乗れ」


 余裕という言葉を強調させて言い、先生は私の頭を叩いた。

 ……地味に痛い。

 先生の横を通り過ぎて自分の席に座る。

 周りからはクスクスと笑い声が聞こえてくる。
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