ハニードハニー
 正直なところ、あまり話したくないんだけどな。


「それで、本当は片思いしている相手がいるとか?」

「え、はははー」

「笑って誤魔化そうとしても――」

「ちょっといいかな?」


 凛とした声が私達の中に入ってきた。

 助かったと思った。

 柔らかくて酷く安心する声。


 周りを見れば遠くにいた生徒達までもがこちらを見ていた。

 そして悲鳴とも呼べる声があちこちから沸き上がる。


「生徒会長だ!」

「なんで智久がここに!?」


 生徒会長、平野智久。

 彼の支持はすごいものだ。

 容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群。

 どこを取っても欠点なんかない彼は学園の王子さま扱い。
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