ハニードハニー
彼は私の色に
染まりたいと言った
だけど彼は私の色に
染まることはなかった
「――そこですか?」
「なんか一番気持ちが表されているところかなって思って」
平野さんはきっと知らない。
私がこの曲の作詞をしたってことを。
そして
私も彼の色に
染まることはなかった
結局私は
何色に染まったんだろう?
もうすぐ一時限目の始まるチャイムが鳴る頃だと思う。
騒がしかった廊下はずいぶんと静かになっていた。
「この曲って――失恋ソングだよね」