ハニードハニー
 私の歌で幸せになったり感動したり喜んだり。

 私の伝えたいことを歌に乗せて届けたい。




――だから彼は彼女の歌を聞いて涙を流していたんでしょ?




「雛ちゃん。そろそろインタビューの時間らしいわよ」

「はい」

「……。雛ちゃん」

「なんですか?」

「歌手になってよかった?」

「はい、もちろん。」

「そう……。ならいいわ」


 社長に頭を下げて記者がいる方にいった。

 緊張を誤魔化そうとして目を瞑り、深呼吸をした。

 そうすると暗闇で私が歌っている姿が浮かんだ。

 光もなく聞いている人も誰もいない。

 そんなところで私は歌っていた。
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