ハニードハニー
「エリカさん!」


 廊下を走り、階段を飛ばして校門に向かった。

 向かっている時、教室から見ている人やグラウンドにいた人に見られて恥ずかしかった。


「あら雛ちゃん。来るの待ってたわ」

「……あ、そ、そうですか」


 息も切々に話す。

 近くで見ると本当に社長からキラキラオーラが漂っている。


「それで……今日はどうしたんですか?」

「ふふふ。それにしても出迎えが来るはずなんだけど」

「遅くなって申し訳ありません」


 凛とした声が響く。

 柔らかくて酷く安心する声。

「――平野さん?」


 振り返るとそこには平野さんがいた。
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