ハニードハニー
 ちらっと平野さんの方を見ると、今の会話が聞こえてなかったらしく笑い返してくれた。

 私は社長にだけ聞こえるように話す。


「あのですね。エリカさんは誤解しています」

「あら、隠さなくていいのよ。女の子はたくさん恋しないと」

「そ、そう言うのじゃなくて、私は、その、憧れてるだけです!」

「ムキになっちゃって、可愛い」


 社長には何を言っても敵わない。

 言ったところで自分が墓穴を掘るだけだ。

 というか社長は本当に何をしに来たんだろう。

 平野さんを出迎えに呼んでたみたいだし。


「……それで?」

「あぁ、忘れるとこだったわ。雛ちゃんに紹介したい人がいるのよ」

「それなら学校じゃなくてもいいじゃないですか」

「だって彼女も学校関係者になるから学校でいいじゃない? だからわざわざ出迎えさせたのよ」
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