ハニードハニー
「あ、ありがとうございます」


 照れくさかったがどう答えていいのか分からず、とりあえずお礼を言っておいた。

 年齢はたぶん20代後半だろうか…。

 彼女からは香水なのかすごく甘い香りがする。


「あなたは歌うことが好きかしら?」


 彼女は酷く落ち着いた調子でそう言った。
 

「そうですね……。歌うことは好きですよ? 上手い下手にとらわれず自由に歌う事が好きです」

「そう。ならこれを」


 そう言って渡されたのは、名刺だった。


「どうして私に名刺を?」

「あなたの事、私の事務所に招待するわ」
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