ハニードハニー

◇◇◇

 異国語。

 自分の国の言葉さえ自信を持って話せないのに、他の国の言葉を勉強するなんて矛盾している。

 英語は数学の次に苦手だ。

 今日も窓の外は雲ひとつない快晴の日。

 ……台風はまだだろうか。


「――宮下さん、聞いてますか?」

「へ?」

「あなたに読むところが当たってますよ」


 少しインテリ気味の英語の女教師は私にそう言った。


「えっと……何ページですか?」

「72ページですよ。外ばかり見てないで教科書に集中しなさい」


 教科書に集中は無理でしょ。

 席を立ち教科書を開く。


「えーミスホワイト、イズーあ……ワッツ?」

「どうしてそんなにカタコトなんですか。真剣にやりなさい」


 これでも真剣なんですけど。

 英語が話せなくても、もし外国に行った時に雰囲気と身振り手振りでやり過ごせる自信がある。
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