ハニードハニー
「もういいです、座りなさい。代わりに神谷さん読んでください」

「はい」


 私が座るのと同時に隣の席の神谷さんが立った。

 スラッと高い身長にブロンドの髪。


「Ms.White is ――」


 その彼女の口から発する言葉も綺麗なものだった。

 彼女が読み終わり座ると、その流暢な発音に思わず手を叩きたくなる。

 それが私のカタコト発音の後だから尚更だ。

 さすが帰国子女。


「神谷さんありがとう。助かったよ」

「……」


 無言。

 神谷さんが転校生してきてから1週間がたった。

 その間、私は神谷さんにたくさん話すもことごとくスルーされている。

 今もまさにそれ。

 でもこんなことではめげない!

 だって学校だけじゃなくて仕事もあるからチャンスはいっぱいある。


「神谷さんよかったら今日一緒に食堂に行こう」

「……」

「安くておいしいんだよ。」

「……」


 無視をされるも、この1週間でだいぶ慣れてしまった。

 本当は慣れてはいけないことだと思うけれども。


「それじゃあ今日は一緒に帰ろうよ! 神谷さんがアメリカにいた時の話とか、仕事の話とかしたいな! 後は――」

「宮下さんうるさいです!」


 インテリ女英語教師に怒られた。
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