ハニードハニー
「よ、よろしくお願いします」


 ミハエルさんは透き通るようなスカイブルーの瞳をしていた。

 店内の一番奥の席に通されると神谷さんと向かい合うように座った。

 何も注文していないのにドリンクが来たあたり、神谷さんはここによく来ているんだろうな……。

 でも私コーヒー飲めない。


「それで話って何かしら」


 コーヒを飲みながら神谷さんに言われた。

 たぶんこれが初めて彼女からまともに私に投げかけられた言葉だと思う。

 喉が渇いているからなのだろうかその問いに上手く答えられなくてコーヒーを飲んだ。

 ……大人の味だ。


「あの神谷さん。私ね、神谷さんと仲良くなりたいと思ってるの」

「私はあなたとは仲良くなりたいと思っていないわ」


 目も合わせずそう言われた。

 分かってる、そう言われるのは分かっていたけど、いざ目の前にして言われると少し傷つくな。

 大きく息を吸って長い時間を使って息を吐き出す。

 この緊張感はなんなんだろう。

 
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