ハニードハニー
「話は以上かしら」


 彼女と視線が絡んだ。

 視線が彼女と絡んだのは2度目。

 冷たい視線……。

 その瞳は一生抜け出せないような迷宮に吸い込まれそうだ。

 言いたいこと、言おう。


「なんで私と仲よくなってくれないのかな」

「必要がないからよ。あなたとは仕事でも会うこともあるだろうし余計な私情は必要ない。それだけ」


 静かな物言い。

 同い年とは思えない。


「そう思われてもいいけど聞きたい事があるの。神谷さんが転校してきた初日、車から降りてきた時、視線を逸らすことができなかったの。なぜだか分からないけど……」


 その時の視線は冷たい視線ではなかった。
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