ハニードハニー
 神谷さんが私の声に惹かれたといった。

 どう反応していいか分からず黙って聞いていた。


「私の中でHINAという存在は大きなモノに成長していったわ。そしてHINAに会いたいという気持ちさえも芽生えていった。日本に帰国しようと思ったのも……」


 そこで彼女は言葉を止めた。

 彼女は私のことを真剣に見ている。

 その視線につい目を逸らしてしまった。

 深いため息が聞こえた、それは私からではない。


「日本に帰ることはすごく反対された。アメリカのスタッフたちを納得されるのに半年かかったわ。そして久しぶりに帰ってきた日本。目的はHINAに会うため。エリカにも無理を言って同じ学校に入学させてもらった。きっとそれが間違いだったのね」


 静かにコーヒーを飲む彼女。

 そこで初めて彼女は砂糖を入れ、スプーンでかき混ぜる。

 そのスプーンがカップにあたるカチンというう音が嫌に冷たく感じる。
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