ハニードハニー
 私の携帯が鳴る。

 画面を見るとマネージャーからだった。


「もしもし?」

『もしもしじゃないよ雛今どこにいるの! 仕事の時間とっくに過ぎてるよ!』


 時間を見ると軽くこのカフェに来てから1時間以上たっていた。


「ごめんなさい! 今神谷さんと一緒にいて話に夢中になって気づかなかったの」

『え? 有里といるのか? 珍しいこともあるんだね。とにかく早くスタジオに来てね』


 通話を終了する前に少しマネージャーが笑ったような気がした。

 温かいような柔らかい笑い方。


「ごめんね神谷さん! またお話いっぱいしよ、その時に私の友達紹介するね! これから仕事だから」

「ゆ・う・りでしょ」

「うわーん練習しておく」


 神谷さんはまだカフェに残るというので先にカフェから出る。


「また明日学校でね! ゆ、ゆーり!」


 私が大きく手を振り、彼女は小さく手を振った。

 大きな1歩を踏み出せた気がした。

 今日は仕事が楽しくできそうだ。


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