ハニードハニー
「ちょっと涼介! 雛がいつもより可愛いからって何恥ずかしがってんのよ!」

「ばか何言ってんだよ! お前は黙ってろよ」

「お前って何よ! しかもバカって! バカは涼介でしょ!」


 二人は睨み合いはじめてしまった。

 付き合いの長い私たちにとってはこんな些細なこといつものことだけど。


「まあまあ二人とも落ち着いて」

「先輩は黙っててください」

「蓮さんは黙っててください」


 蓮兄がなだめたのにふたりして突っ込んだのには思わず声を出して笑った。

 蓮兄と涼介くんは部活が同じだから普段からこんな感じなのかなと少し想像したらおかしくなった。

 それから楽屋で少しだけ話をして蓮兄達は客席に戻って行った。

 一人きりになった空間でこれからのステージに備えて準備をする。

 ステージに立った時のあの独特の感じ、視線が私に集中していると思うと緊張から逃げ出したくなる時もあるが、歌ってみると不思議、そんなことを考えていたことが嘘みたいに楽しくなる。

 
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