ハニードハニー
 今日の平野さんは一段とかっこいい。

 普段見ている学校の制服姿とは違って、少し着崩している感じが何とも言えないくらいに似合っている。

 どうしてすべてが完璧な人があんなバカ兄と仲がいいんだろう。


「今日の雛ちゃんは一段とかわいいね」

「えっな、いきなりなんですかっ」


 顔が赤くなるのが分かった。

 だっていきなり平野さんが可愛いなんて言うから。

 しかもそれを何の躊躇もなくさらっと言いのけるのだ。

 胸が締め付けられる思いだ、どうしてこの人は私のことをこんなにも……

 恥ずかしくなり視線を下に向けると平野さんが笑った気がした。


「今笑いましたね? どうして笑ったんですか」


 顔上げずにそう言った。

 けれど彼が笑うことはいつもの事だった。

 そしてその笑った後に話す彼の言葉を待っている私がいる。

 今日は何と言ってくれるのだろうか。

 彼が進むべき道を誘導してくれるのはいつもの事だから。
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