ハニードハニー
 もうきっとこの気持ちは隠すことができないくらい大きくなっているんだろう。

 彼にだけ伝わっていればいい。

 そう思うけれどどう伝えればいいか分からない。

 歌に乗せて伝えれたら簡単にできるんだけどな。

 あの時から、彼が私の歌を褒めてくれた時からこの気持ちは決まっていたのかもしれない。


『みんなありがとー! 次のステージも楽しんでね!』


 私の出番が終わり次の人にバトンタッチする。

 華やかなステージから足を降ろすと、なぜか鼻の奥がツンとした気がした。

 次のステージの準備をしなければいけない。

 けれど彼のことが頭から離れないのだ。


「ははは、なんで今こんなに考えているんだろう」


 思わず声が漏れてしまった。

 それと同時に涙が落ちてきた。

 何かが私をそうさせたのかは分からない、だけれど彼のことを考えるとこんなにも胸が苦しいのだ。

 認めてしまえば楽になるのだろうか。

 私は貴方が好きなんです。

 平野さんが……好きなんです。

 こんな分かり切っていた気持ち言葉にしてみたら意外と素直に受け入れるものだ。

 スタッフが持ってきてくれた水を飲む。

 渇いた喉によく溶け込んだ。

 そして私の気持ちも体の中心まで流し込んだ。

 
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