あの日に帰りたい
ムッとする草いきれの匂いが鼻をついて、私は目を覚ました。目を開けると、川の土手に寝転んでいた。目の前には幅が結構ある川が静かに流れていた。どこか懐かしい風景だった。ここはどこだろう。何故、私はこんなところにいるのだろう。病院のベッドで寝ているはずなに。混乱した私の耳元に懐かしい声が聞こえてきた。「待ってくれよ。」高校時代に一番仲が良かった俊ちゃんの声だった。私は土手をかけあがり、土手の上の道路に立った。そこは高校時代の通学路だった。そして学生服姿の俊ちゃんともう一人の学生が自転車で走り過ぎていった。「どういうことだ。」私は呟いた。