あの日に帰りたい
夏休み最後の日、相変わらず、家には一人きりだった。母はパートで中学生の弟は部活、小学生の妹は友達とプールに行った。若い私は、電話の前でウロウロして何度もため息をついている。どうやら、みやびに再度電話しようかどうしようか悩んでいるようだった。 私は意を決して、みやびの家の電話番号をダイヤルした。一回、二回と呼び出し音が鳴った。しかし、みやびの家の人は誰も出なかった。十回鳴らして出なかったら切ろうと決めた八回目のコールが終わろうとした瞬間、「もしもし。」と電話に出る若い女の子の声が聞こえた。