あの日に帰りたい
不思議なことが起きた。私は透明人間のはずなのに、高校一年の私が耳にあてている受話器を通したみやびの声が聞こえたのだ。
それはまるで、高校一年の自分に同化しているかのようだった。しかし、電話しているもう一人の自分は目の前にいる。どういうことだろう。私は混乱したが、もう深く考えるのはやめた。切り替えの早いのが、私の長所であり、短所であった。

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