あの日に帰りたい
白バイ警官は車の下を懐中電灯で照らしながら、誰か隠れていないか、探していた。次に照らされるはずの車の下に若い私は隠れていた。絶体絶命である。
その時、少し離れたところで奇声があがった。警官は声のする方向に歩いていった。若い私は、このチャンスを逃さずに、車の下から這い出し、他人の家の庭先をひどい千鳥足で駆け抜け、フラフラになりながら、Hの家に戻った。

< 55 / 113 >

この作品をシェア

pagetop