あの日に帰りたい
私は困っていた。長い入院生活で現金は持っていなかったし、ましてやこの時代のお金など持ち合わせていなかった。しかし、良く考えてみれば、そもそも透明人間と化した私は普通に飲食店で食事を取ることはできないのだ。私は考えた挙げ句にマクドナルドの廃棄処分のハンバーガーを漁る事にした。なんとかそれで一息ついた私は、国鉄(まだJRというハイカラな呼び名ではなかった)の静岡駅の駅ビルに向かい、私の家の方に向かうバスに乗り込んだ。これは透明人間の方が楽だった。バスは懐かしい風景を横目に走った。
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