あの日に帰りたい
第六章
そこに表れたのは、四十代半ばくらいの眼鏡を掛けた男だった。「また会いましたね。」男は低い声で彼女に話しかけた。「そうですね。10日ぶりくらいかしら。」「そちらの方は?」彼は私の方を指差した。「今日の昼間、喫茶店で会ったの。まだ、時のはざまの世界に来て、日が浅いみたいで、あなたたちの事を話したら、とても興味を示したの。」「いきなりですみません、でもいろいろと教えて欲しくて。」男は眼鏡の奥で警戒した眼差しを向けてきた。
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