あの日に帰りたい
バスは終点の私の家の近くのバス停についた。運転手は透明人間である私に全く気づかず、私は堂々と降りた。私ははやる気持ちを抑えきれず、バス停から走り出した。入院生活で車椅子生活だった私は二本の足で歩くことが念願だった。足の裏から伝わる地面の感触を味わいながら、私の大好きな自宅からすぐ近くの海を目指した。日は落ちて、あたりは暗くなってきたけど、そんな事は構わなかった。私の大好きな海の波音が聞こえてきた。私は溢れでる涙を拭いもせず、立ちつくした。