あの日に帰りたい
「オレもそのバンドに入れてくれよ。」若い私は何も考えずに、迷うことなく叫んだ。「別にいいけどさ。お前なんか楽器出来んの?もう、ベースとドラムは決まってんだ。後はボーカルぐらいか?」「オレにボーカルをやらせてくれ!」自慢ではないが、私はまったく楽器など、弾けなかった。はじめからボーカルしかできない男だったのである。しかも、別に歌がうまい訳ではなかった。前途は多難だった。

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