あの日に帰りたい
長い呼び出し音の末に、みやびの家族の誰かが出た。「もしもし。」みやびらしい声だった。「もしもし、俺だけど、たびたびごめん。」「・・・」無言の応答だ。「もしもし、みやびかな?少し話していいかな?」「お姉ちゃんは今、いません。」みやびの一つ下の妹だった。携帯電話がなかった時代の電話はスリル満点だった。私は、またかけると言って、すぐに電話を切った。有りがちな失敗だった。