闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~


外は薄暗くなっていて、少し肌寒く感じた。


不気味なほど静かで、それが怖い。



「樹里 」


「ダーク? どうしてここに 」



薄暗い草村の中から、静かにダークが現れた。


驚いたが、見慣れた顔に少し安心した。



「いつも突然現れるんだね 」


「樹里をいつも見てるからね 」


「冗談やめてよ 」



そう笑って、私は胸を落ち着かせた。


心細い気持ちが溶け、少し安堵したからか、目にうっすらと涙が溢れてきた。


泣くつもりなんてなかったのに、いろんな不安や思いが積み重なって、堪えきれなかった。


私はダークに気付かれないように、顔を下げた。



「樹里を泣かせる奴は、俺が許さない 」



そう呟くと、私の肩をそっと抱きよせた。



顔を上げてダークの視線を追うと、そこには窓からこっちを見ているルキアの姿があった。


一瞬こちらを見ているように見えたが、すぐにカーテンは閉まり姿を消した。



「行こう、送るよ 」



小さく頷くと、私たちはその場を後にした。


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