闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

「いいから、話してみて 」



三上先生はこちらを見ると、いつもの明るい先生とは少し違って真剣な表情にみえた。




「昔、ある悪者が天罰をくらって獣に変えられて、よそ者がやってくるとその血を目覚めさせて村へ狩に降りてくるって 」



私は、優希から聞いた通りに答えた。



「あながち、間違いではないわね 」


「じゃあ……」


「でも、合っているとも言えない。 伝説と言うものは、ひとつとは限らない 」



どういう意味か理解出来ず、私は首を傾げた。



「人は物事を膨らませたり、自分の分かりやすい言葉に置き換えてニュアンスしたりする。 それがいつしか、本来伝わるべき物と違う物になってしまう事がある 」



「じゃあ、先生は本当の話を知ってるんですか? 」



三上先生は、「仕方ないわね」と言うように、穏やかに語り出した。



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