闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
突然の恐怖に襲われて、力一杯声を上げた。
とうとう殺されるっ!
「大きな声を立てるな 」
その声を聞いて、私は動きを止めた。
そっと目を開くと、目の前にはあの時の少女が立っていた。
「もしかして、リンダ? 」
「彼から聞いたのか 」
私はコクコクと頷き、ほっと胸を撫で下ろした。
怖かったから、ちょっと安心した。
「何を安堵している。 私は敵だぞ 」
そう言って、この前のように鋭い目つきで私を睨み付けた。
「そんな事言わないでよ。 出来たら、仲良くなりたいな 」
「ふざけるなっ! 」
そう叫ぶと、彼女は1歩ずつ後ろへ下がっていく。
まるで、助走をつけるかのように。