闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
私って嫌われてるのかな。
そんな事を思っていると、どこからか冷たい空気が流れてきた。
静かに、氷のような風が辺りを包み込んでいく。
一気に空は暗黒の闇へと移り変わった。
何これ、なんか怖い!
ダークがどこにいるのか分からなくなって、足がすくんだ私はその場から動けなくなった。
目を凝らすと、徐々に目が慣れたのかすぐ前に立つダークを見つけた。
でも、様子がおかしい。
何かを探すようにキョロキョロと周りを伺っている。
突然、背後に気配を感じて振り返ると、黒いベールを覆った目鼻の見えない人物が立っていた。
全身黒ずくめに身を包んだその姿はとても威圧的で、ベールから覗く赤い唇が笑っているのが見えた。
「びっくりしたっ! 何、誰?! 」
驚きながら、その何者か分からない人物を見た。
ダークの表情は険しく、いつもの穏やかさはなかった。
「あら、私の事知らないの? 」
その赤い唇は、不気味に口角を上げてキュッと笑った。
その姿に、私は背筋が凍るような悪寒を感じた。
「アサマイト__ 」