闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
その時、左から誰かの呟く声が聞こえた。
聞き覚えのある低い声の主は、ルキア。
どうしてここにいるの?
「いつもベールに隠され、誰もその中の素顔を見たことのない、殺人鬼ラティラ 」
「さ、殺人……?! 」
足が震えて、私はその場にしゃがみこんだ。
恐ろしさで腰を抜かして立ち上がれない。
「さすが、クリスティン家は情報が早いのね。 侮れないわ 」
そうそのラティラという黒ずくめの女はクスッと笑った。
殺人鬼はルキアの知り合い......?!
何も考えられなくて、ただ茫然と冷たい地面に座り込んでいた。
「ここは俺たちの居住区だぞ 」
ダークがいつになく険しい表情をして、身を構えながらルキアに言った。
「今そんな事を言ってる状況かよ 」
2人が何の話をしてるのかは分からない。
でも1つ言えるのは、今とってもヤバい状況なのかもしれないって事。