闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
どういう意味なの。
動揺を隠せず、私はラティラを見上げた。
「あら、聞いてなかった? 日に当たらない、その透き通るような白い肌。 狙った獲物を逃さない鋭い瞳。 血のように赤く染まった唇。 いつでも冷たい死人の肌 」
後ろから、キュッキュと草を踏みしめる音が聞こえてくる。
だんだんと近付いてきて、それは私のすぐ後ろで止まった。
「そう、彼は____ 」
「よせ 」
「ヴァンパイア____ 」
一瞬、脳裏に過った言葉が胸に突き刺さる。
そんなわけない。
「違う、ルキアは冷たくないし……死人の肌なんて嘘だ 」
触れた手だって、胸元だって温かい人の肌だった!
「それは人間に触れる時、意識して体温を上げているから 」
「やめてよ 」
「心も感情もない、あれはただの器にしか過ぎない 」
「やめて...... 」
自ら体を抱きしめながら、ガタガタと震えを耐えた。
怖い!
すると、氷のような冷たい感覚が肩に降りて来て、恐る恐る顔を上げると、そこには彼の差し伸べられた手が置かれていた。