闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
それは、服越しにでも分かるくらいとても冷たい物だった。
「嘘でしょ...... 」
まるで、本当に死人のように体温が無いみたい。
ルキアは切ない表情を浮かべると、颯爽と私の前へ立った。
「ヴァンパイアのくせに、人間を守って裏切るのかい? 」
次の瞬間、ルキアの手のひらから青い炎が上がり、一気にラティラの体を包み込んだ。
その光景が恐ろしくて、見ていられない。
私は顔を覆って下を向くと、後ろからそっと優しく抱きしめられた。
「大丈夫、俺たちがついてる 」
ダークはそっと私の耳を押さえると、電波のような「キィーッ」っと言う音を鳴らした。
私は呆然としゃがみ込んだまま動けない。
「樹里、助けて 」
その声に、心臓がビクンと反応した。