闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
そこは、斜めに傾いた三角の屋根をしていて、木で作られたまるでおとぎ話に出て来るような小屋だった。
小さな入り口へ入ると、中はテーブルと椅子、他には棚にバラバラと物がある程度で閑散としていた。
私たちはテーブルを囲んで腰を下ろした。
「〝同族喰らい〟と言って、同じヴァンパイアの血を飲む集団がおる。 それは決まって自分より目上の存在、濃い血を持つ者が襲われる 」
白魔女は話しながら何かを探すように、細長い指を左右に動かしている。
「あの、まず、この状況を説明してもらっていいかな 」
恐る恐る口を挟むと、一気にこちらへ視線が集中して思わずゴクリと唾を飲んだ。
「ル、ルキアはヴァンパイアで……ダークが狼の子孫で……? 」
「わしは白魔女のモーガンじゃ 」
「じゃあ、三上先生とは関係ないの? 」
「それもわしじゃ。まあ、数ある顔の1つじゃな 」
そう言って、人差し指をクイッと動かすと、私の背後からゴトゴトと何かが動く音がした。
顔のすぐ真横を何かが通り、「ひいっ!」と私はルキアの方にもたれかかった。