闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「おぉ、これはおいしそうなプラムじゃな。 食べて良いかの 」
そう嬉しそうな声で、赤いジャムが詰まったビンの蓋をパカッと開き、細長い指をグサリと突っ込んだ。
モーガンはべっとりと真っ赤に染まった指を、丁寧に舐めた。
「よくあんたを見張っていたが、何度か追い払われたわ。 うん、これは初恋のような味じゃな 」
「モーガンは、いろんな動物に変身出来る。ねずみやカラス時には蛇にも 」
もしかして、と私はあることを思い出した。
よくカラスに見られていると感じていたけど、あれは彼女が私を見守ってくれていたんだ。
他にも気付かない所で、きっと手を差し伸べてくれてたんだ。
そうとも知らずに私は……
「おそらく、また新たな形で現れるはず。 油断は禁物じゃ 」
モーガンの話をじっと見つめて聞いていると、不思議そうな顔をして私を見た。
「なんじゃ、なんならまた三上先生に戻ろうか? 」