闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「あ、いや、別にそんなつもりじゃなくて。 ただ、まだ実感なくて、先生のことを思い出すと、ちょっと寂しいなって 」
彼女は怪しげな高笑いをして、鷲鼻を触った。
その笑顔は、私の心を和まさせた。
みんなが私の味方だってことは、よく分かったけど、これからどうなるのか想像が付かない。
「魔女と吸血鬼はどっちが強いの? 」
私はとりあえず、素朴な疑問を率直に聞いてみた。
一瞬辺りが静まり、口にしてはいけない言葉だったのかと冷や汗をかいた。
けれどモーガンは、優しい口調で答えてくれた。
「わしらの魔術にも限度がある。 奴等は同族喰らいの身、想像を絶する図り知れん力を持っとる 」
濃い血を飲み続けていると、知性やパワーがみなぎり使える力も増える。
それと同時に、まだ免疫のない濃い血を体内へ取り込むことにより、耐性しきれず副反応が起こることも少なくない。
理性を保てなくなり、我を失うものが後を絶たなくなっている。
ヴァンパイアの世界でも、その行為は罪とされ、罰を受ける吸血鬼たちもいるという。
その罪を犯してまで求めるなんて、どんなに恐ろしい者なのか想像もつかない。