闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「そもそも、お前たちは人間の血を飲んで生活してるんだろ? 彼女を狙った事はないのか? 」
ダークはルキアに疑わしい眼差しを向けた。
私の血を狙う?
そういえば、ターゲットになったのは私が〝特別〟だからって言ってた。
「普段人間の血は飲まない。 飲みたくないと言えば嘘になるけど、血迷ったことはない。 彼女の血は強烈に鼻につく、珍しい特別な香りがするんだ 」
「ヴァンパイアだけが惹きつけられる、フェロモンみたいなもんじゃよ 」
そんな目で見ないで。
私を包み込むような優しい瞳。
けれどその奥には、冷たく孤独な寂しさを隠しているように見えた。
血が特別な香りって言われても、いまいちピンと来ないな。
「甘党の人間が、ケーキを目の前にして我慢するのと同じ。 誘惑に勝つか負けるかはその者次第じゃ 」
ペロペロと指をしゃぶるモーガンに、冷たい視線を送るダーク。
「で、これからどうする 」
ルキアは平然とした態度で話をしている。
私には、彼が何を考えているのかよく分からなかった。