闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
ルキアはそれを受け取ると、私の目の前に差し出した。
「これは君が持っていた方がいい……だろ? 」
彼がチラッと視線を向けると、「あぁ」と言うようにモーガンはニヤッとした顔をみせた。
「これからはさらなる危険が伴う。 お姉さんにも護衛をつけておこう 」
そう呟くと長い爪を立てて、自分の白髪を1本抜いた。
息をそっと吹きかけると、空中を泳ぎながら、徐々に形が作られていく。
それは真っ白な小鳥の姿へと変わり、窓の外へと飛んでいった。
「素敵...... 」
その芸術のような美しさに見とれてしまった。
「今日はもうおやすみ 」
しわだらけの手のひらが額を覆い被さると、ふわっと意識が遠退いていった。