闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

ルキアはそれを受け取ると、私の目の前に差し出した。



「これは君が持っていた方がいい……だろ? 」



彼がチラッと視線を向けると、「あぁ」と言うようにモーガンはニヤッとした顔をみせた。



「これからはさらなる危険が伴う。 お姉さんにも護衛をつけておこう 」



そう呟くと長い爪を立てて、自分の白髪を1本抜いた。


息をそっと吹きかけると、空中を泳ぎながら、徐々に形が作られていく。


それは真っ白な小鳥の姿へと変わり、窓の外へと飛んでいった。



「素敵...... 」



その芸術のような美しさに見とれてしまった。



「今日はもうおやすみ 」



しわだらけの手のひらが額を覆い被さると、ふわっと意識が遠退いていった。



< 149 / 224 >

この作品をシェア

pagetop