闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

闇のプリンス




ここは……どこ?



長い眠りから目を覚ましたように体を起こすと、私は見知らぬ草村の中にいた。



これは夢なのか、それともモーガンの仕業なのか。



「ルキアーっ 」



辺りを見渡しながら声を上げると、その音は空高く舞って響いた。



森の木や草花が歌を歌っているかのように、風に乗って囁くような音を出している。




「ダークーっ...…モーガーンっ! 」



足を1歩ずつ前へ踏み出すと、チクッと何かが刺さったような痛みに襲われた。



「いったぁ……! 」



しゃがんで足の裏を見ると、親指に切り傷が出来ていた。


じわっと血が滲み出ている。


ギュッと傷口付近を圧迫する。


靴履いてなかったの、今気が付いた。


私は白いワンピース姿で靴下も靴も履いていない格好だった。




「なんでこんな格好してるの? 」




自問自答するように言葉を口に出してみるが、その答えは自分の頭の中にはなかった。



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