闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
怖い……こんなのケイトじゃない。
いつもより白く感じる肌は、顔の血管が浮き出て見えて、目の色も綺麗なゴールドをしている。
唇は艶のある血色の良い色をしていて、話すたびに見え隠れする小さな牙に目を奪われていた。
やっぱり、彼らはヴァンパイアなんだ。
私はケイトから逃げるように、長い髪をなびかせながら走った。
痛った……足の先と指が悪戯に疼く。
そして、大きな塀の前にたどり着くと、足を止めた。
お屋敷のような見覚えのある白い建物。
ここって、まさか……
「樹里ちゃん、待ってたよ 」
そう言って塀を飛び越え、ケイトが颯爽と現れた。
「いやぁーっ! 」