闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「3、2…… 」
もう、わけ分かんないよっ!
私はやけくそに足を踏み出すと、目の前にいるルキアの胸に飛び込んだ。
「1……目を閉じて 」
言われるままに、そっと瞼を閉じると彼の背中にギュッと手を回した。
今日は、少し体が冷たい気がする。
彼の手が腰に回り、強く抱きしめられると、私の鼓動は段々と加速して行った。
これから何が起こるんだろう。
「ゆっくり目を開けて 」
そっと瞳を開くと、目の前には青い空が広がっていて、足元を見ると家屋や草木などが小さく見えた。
私、浮いてる。
ヴァンパイアの世界の空を飛んでる。
「あそこが図書館、そっちはバー、遊園地や城もある 」
ルキアの指の向く方に、私は必死に視線を泳がせた。