闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
私は大声を出すと、目の前にある首に思い切り腕を絡めて、その首筋に顔を埋めた。
怖い怖い怖い……
呪文のように胸の中で唱えながら、スピードが緩やかになった事に気が付いた。
微かに目を開けてみると、すぐ前に彼の綺麗な首筋があって、なんだか妙に色っぽく見えてドキドキした。
こうして見ると、触れたくなるのも分からなくない。
そっと顔を近付けると、その首筋にチュッと唇を触れた。
「うわぁっ 」
「きゃっ! 」
ドスンという鈍い音を立てて、ルキアは地面に尻もちを付いた。
急にどうしちゃったんだろう。
「バカ、お前が急にあんな事するから…… 」
こんな動揺しているルキアを見るのは初めてで、少し驚いた。
もしかして、キスしたこと照れてるの?
「そんなわけないだろ 」
あ、また心を読んだ。